治療打ち切り
1 「治療打ち切り」の意味
相手方保険会社負担で治療を継続していると,保険会社から,治療費の支払いを○○月以降は辞めるので,治療を打ち切ってもらい,「症状固定」としてもらいたい,と打診されることがあります。
治療の打ち切りを打診される時期としては,症状や治療の状況,保険会社毎に異なりますが,その目安としては事故発生から半年です。
そして,「症状固定」とは,医学的には,「治療を続けてもそれ以上症状の改善が認められないとき」,すなわち,治療の効果が認められなくなった時期をいいます。
そして,症状固定になれば,治療が不要となるわけではないのですが,裁判所は,症状固定後の治療費について,原則として賠償を認めません。
このため,保険会社の治療打ち切りは,「既に症状固定となっている」から,「治療費の賠償は認められず」,「保険会社が治療費を支払うつもりはない」との意味なのです。
つまり,保険会社は,「既に症状固定となっている」と主張しているのです。
2 「治療打ち切り」に対する対応
しかし,症状固定の時期は,ご相談者様が医師に症状の状態を説明し,それを受けて,医師が,医学的な知識も考慮して判断するものです。
直接治療を行っているわけではない保険会社が,症状固定時期を勝手に決めることは許されません。
そこで,ご相談者様が治療の継続を希望され,かつ担当医師が医学的見地から治療の継続を勧めているのであれば,後遺症が残らないで済む可能性がありますので,治療を継続されるべきであると考えます。
このため,その場合には,保険会社に対して毅然と抗議し,治療費の支出継続を求めますが,仮に,保険会社が治療費の支出継続を拒む場合には,一時ご相談者様に治療費を立て替えてもらったうえで,最終的には保険会社に立て替えた治療費も含めて賠償することになります。
なお,治療費については健康保険を使用することが可能ですが,担当医師が健康保険の使用を拒む場合には,弁護士が医師と協議することも致しますし,治療費の立替払いをすると家計が苦しいという場合にも柔軟に対応致します。
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