死亡事故・物損事故に関するご相談
1 死亡事故の賠償金額の算定方法が知りたい
ある日突然、交通事故でご家族や大切な方を亡くされた悲しみは計り知れないものと思います。
このページは、そのような悲しみ、苦しみの中で、損害賠償のことでお悩みになられている方もおられると思い、その一助となればと考え、作成しました。少しでも、遺族の方のお力になれれば幸いです。
(1) 死亡事故の賠償額は、以下の表の損害費目ごとの損害額を合計し、過失割合を乗じることによって算出されます。
なお、加害者又は加害者側保険会社等からの既払金がある場合には、その金額を控除することになりますが、労災保険からの給付を受けた場合等には、控除方法が異なりますので、専門的な知識が必要です。
(2) 死亡事故についての賠償請求のポイント
死亡事故の場合の損害賠償のポイントは、逸失利益を十分に考慮したうえで、適切な過失割合による賠償をして頂くことにあります。
特に、逸失利益は、将来の見込額を算出し賠償を求めるものであるため、算出の仕方によって、容易に低額の賠償金を算出することが可能ですから、加害者側保険会社が低額の提示をしてくることが多く、注意が必要です。
当事務所では、交通事故によって人身傷害の被害を受けた方の初回法律相談は、無料とさせて頂いており、各損害費目の具体的なご説明もしておりますので、お気軽にご連絡下さい。
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分類 |
項目 |
① |
死亡するまでの怪我による損害 |
治療関係費、付添看護費、雑費、休業損害など
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② |
葬儀費用 |
戒名、読経料、葬儀社への支払いなど
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③ |
逸失利益 |
予想される本人が生きていれば、得られたはずの収入の補償
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④ |
慰謝料 |
被害者及び、遺族の精神的苦痛の補償
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⇒ 過失割合(34)
2 遺族の精神的苦痛を評価してほしい
死亡事故の場合、被害者ご本人様の無念・苦痛に対する補償としての慰謝料に加えて、遺族の方の精神的苦痛に対する補償としての慰謝料についても、賠償が認められます。
その金額については、被害者ご本人様との関係等により変動しますので、ご無理のない範囲で、被害者ご本人様に関するご事情をお聴きし、過去の裁判例を考慮して、見通しや方針を定めて参ります。
3 物損事故の賠償金額の算定方法が知りたい
物損事故の賠償額は、原則として、以下の表の損害費目ごとの損害額を合計し、過失割合を乗じることによって算出されます。なお、加害者又は加害者側保険会社等からの既払金がある場合には、その金額を控除することになります。
特にポイントとなるのは、全損(修理が技術的に、又は事実上困難な場合)か否かと、過失割合です。
物損に加えて、人損の被害にも遭われた方の場合、保険会社の主導で、物損を先行して解決することが多いようです。
しかし、過失割合が、お気持ちに沿わない場合には、物損の示談の段階で適切な対応をとらないと、人損の賠償請求に大きな悪影響が生じるリスクがあります。
このため、物損の示談に応じる前に、是非一度ご相談頂くことをお勧め致します。
また、当初は物損事故だと思っていた場合であっても、しばらく経ってから、事故が原因だと思われる身体の痛みや痺れ等が現れることもあります。交通事故直後には物損事故だけだと思っていた場合であっても、このような場合には、必ず警察に連絡しましょう。
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分類 |
項目 |
①
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修理費用・買替諸費用等 |
修理費用全額が損害になるのが原則です。
ただし、修理が技術的に、又は事実上困難な場合(「全損」といいます。)には、事故前の車の時価と、買替えの際の登録免許税等の雑費の合計額の範囲でのみ賠償が認められます。
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②
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評価損 |
原則として認められませんが、事故により、車の価値が下がったと認められる場合(特定の資料が十分に揃っている場合など)に限り、認められます。
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③
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代車料・休車損 |
代車を使用した場合の費用(代車料)や、営業用の車両が事故に遭い、代車を使用しなかったせいで損害が発生した場合には(休車損)、その賠償が認められます。
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④
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雑費 |
レッカー代や衣類小物などについて、認められることがあります。
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4 人損と物損のどちらを優先して対応すべきか知りたい
まず、人損については、治療終了又は症状固定後でなければ、治療費等が確定しませんので、損害合計額が算出できません(後遺症がある場合には、後遺障害等級認定も経る必要があります。)
他方で、物損については、人損よりも早い段階で損害合計額が算出できるため、物損の方が人損よりも先に請求できることが通常です。
つまり、①人損の損害合計額判明後に、人損と物損を同時対応とするか、②物損先行で、後に人損の損害合計額が判明してから人損を請求するという、2通りの対応が原則となります。
そのメリット・デメリットは以下の通りです。
①同時対応のメリット |
・ 物損と人損を一度に解決できる(特に訴訟をするときには、一度の訴訟で解決可能)
・ 過失割合について、統一的な処理がなされる
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①同時対応のデメリット |
・ 物損の解決にも時間がかかってしまう。
・ 修理費用等の物損について、立替え払いが必要となる場合もある
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②物損先行のメリット |
・ 物損の早期解決ができ、物損について取得額がある場合には、早期支払いを求めることができる
・ 事実上、物損で解決した際の過失割合で人損も解決できる
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②物損先行のデメリット |
・ 過失割合が争点となる場合には、物損についても解決できないことがある
・ 物損で解決した際の過失割合に不満があっても、同過失割合に、人損も影響を受ける危険がある
・ 物損で解決した際の過失割合が、人損の場合に必ず適用されるわけではない
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当事務所にご相談に来られる方で、症状固定後に来られた方の多くは、保険会社の意向を受けて、②物損先行で対応されて、物損は既に終了したうえで来られる傾向にあります。
しかし、②物損先行にもメリットがありますが、同時にデメリットもあります。特に、弁護士に相談されることなく物損の示談に応じた場合には、過失割合が、交通事故被害者の方のお気持ちに沿わない割合となっていることがありますので注意が必要です。
どちらを選択する方がいいのか、或いは例外的に他の請求の仕方(例えば、物損の一部のみの先行など)をする方がいいのかという方針決定に際しては、ご相談者様の事情や意向を十分に考慮することは勿論、交通事故事件についての専門的知識と、経験も必要となります。
このため、できる限り早期に、交通事故を専門的に扱っている弁護士にご相談されることを強くお勧めします。